eBayは世界8ヶ国にそれぞれポータルサイトを持っており、日本にいながらでもそれらの国に出品できます。
多国籍展開することでより多くのバイヤーを相手にできるので、売上アップにつながる可能性があります。
しかし、出品するために8ヶ国それぞれのアカウントを作るのは、多くの時間と労力が必要です。
また、英語以外の言語が使われている国も比較的多いので、なかなかチャレンジできない人もいるでしょう。
今回は現役輸出プレイヤーであるゆうきが、自動での複数国への出品を可能にする「eBaymag」について解説します。
この記事を読むメリットは、以下の3つです。
メリット一覧
- eBaymagの概要がわかる
- eBaymagを使うメリット・デメリットがわかる
- 注意点を事前に対策できる
eBaymagを活用すれば多国籍展開のハードルが下がり、eBayでのビジネスチャンスがより広がるので、ぜひ最後までお読みください。
なお、当ブログでは語りきれないeBay輸出で稼ぐコツを、ゆうきのメルマガにて詳しく解説しています。
クーリエ契約の方法をはじめ、記事動画100本以上の攻略ノウハウ、さらには売上管理&利益計算シートまで提供していますので、ぜひご登録ください。
eBaymagとは
eBaymagとはeBay公式のツールで、最大8ヶ国に出品できる多国籍展開ツールです。
無料で利用できるので、だれでも今すぐに利用できます。
出品可能な国は、以下の8ヶ国です。
- eBay.com(アメリカ)
- eBay.UK(イギリス)
- eBay.DE(ドイツ)
- eBay.IT(イタリア)
- eBay.FR(フランス)
- eBay.ES(スペイン)
- eBay.AU(オーストラリア)
- eBay.CA(カナダ)
日本でeBayを利用している場合、基本的にeBay.comから出品しているはずです。
具体的な機能は、各国のeBayにおける「出品」「翻訳」「在庫管理」の自動対応です。eBaymagがまとめて管理してくれるので、国ごとに出品管理をする必要がありません。
eBaymagを使うメリット
eBaymagを使うメリットは以下の3つです。
- 他国のアカウントを作らなくてよい
- 上位に表示される
- 自動で出品できる
ひとつずつ解説していきます。
1. 他国のアカウントを作らなくてよい
eBay.com以外のサイトで出品する場合、本来は各国のeBayサイトでアカウントを作る必要があります。
しかしeBaymagを使い、すでに持っているeBay.comのアカウントと連携すれば、他国のeBayアカウントをわざわざ作らずに済みます。
国ごとのアカウントを作った場合、重複出品にならないように設定しなければなりません。
しかし、eBaymagであれば一括で設定でき、管理の手間も大幅に省けるはずです。
2. 上位に表示される
eBaymagを使えば他国のeBayサイトの検索結果で上位に表示されるので、多くの商品を売れることが期待できます。
eBayの検索結果は自国サイトで出品された商品が優先して表示され、eBay.comや他国の物は後回しにされる仕様があります。
しかし、eBaymagを使って出品すれば本国のeBayサイトと同じ扱いになるので、従来よりも上位に表示されるようになります。
手続き自体はeBay.comのアカウントを操作するだけなので、わざわざ8ヶ国それぞれで出品する場合よりも手間を大きく省けます。
3. 自動で出品できる
eBaymagを使えばeBay.comで出品するだけで、以下の作業をすべて自動で行ってくれることも大きな特徴です。
- 他国のeBayでの出品
- サイトの翻訳
- 価格の変換
eBayでは英語が共通言語とされていますが、バイヤーからすると、母国語で出品されている商品のほうが見やすいと感じます。
その点でも、自動翻訳して出品してくれるeBaymagは非常に便利なツールです。
eBaymagを使うデメリット
eBaymagを使う際は、次のデメリットに注意が必要です。
- 出品手数料がかかる
- オークション出品は対象外
- 他国に出品した分だけリミットも消費する
ひとつずつわかりやすく解説していくので、参考にしてみてください。
1. 出品手数料がかかる
eBaymagを使えば、各国のeBayでアカウントを作る必要がない分、手数料がかかります。
手数料は出品する国によって異なります。
手数料率は価格設定をする際に確認できるので、考慮したうえで利益計算をしましょう。
2. オークション出品は対象外
eBaymagで出品できるのは「Buy it now」の商品のみです。
「Buy it now」とは固定価格で出品する方式で、バイヤーが即時購入可能な販売形式を指します。
逆に言うと、eBay.comでオークション形式で出品している商品は、eBaymagでは出品できないので注意しましょう。
3.他国に出品した分だけリミットも消費する
eBaymagを使って複数の国で出品した場合、重複出品にはなりませんが、アカウントリミットは消費されます。
たとえば、5ドルの商品100品をeBay.comとeBaymagを使ってイギリス・ドイツ・フランスへ出品した場合に必要なリミットは、下記のとおりです。
- 5ドル×4ヶ国=20ドル
- 100品×4ヶ国=400品
何も考えずにeBaymagで出品国数を増やしてしまうと、リミットを一気に消費してしまう恐れがあります。
とくに、eBay始めたてのセラーは1品出品しただけでリミットが底を尽きる、という事態に陥ることも。
そのため、eBaymagはリミットアップを実現できた人向けの販売手法であると言えます。
eBayのリミットアップについて詳しくは「【画像付き】eBayリミットアップの手順を解説!初心者が250倍アップするためのコツや注意点を紹介」の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
eBaymagの使い方と設定方法
eBaymagは、以下の6ステップで始められます。
- eBaymagにログインする
- 出品する国を選ぶ
- 出品する商品を選ぶ
- 出品する商品を追加・編集する
- 商品の価格を設定する
- その他の設定をする
ひとつずつ順番に解説します。
1. eBaymagにログインする
まずは、以下のリンクからeBaymagへログインしましょう。
画面中央にある「eBaymagを利用する」ボタンをクリックすると、登録画面に移ります。
ログインする際は、eBay.comのアカウントIDとパスワードを使います。
出品の読み込みには30分ほどかかるので、気長に待ちましょう。
2. 出品する国を選ぶ
ログインできたら、どの国で出品するかを選択します。
「free listings available」と表示されている数は無料出品枠数です。
無料出品枠はアカウントタイプ・国によって異なるので、枠数を考慮しながら出品する国を決めましょう。
3. 出品する商品を選ぶ
どの商品を出品するか選びます。
出品する国数に応じてリミットを消費するので、商品は慎重に選びましょう。
出品したい商品を選択クリックします。「Select All」をクリックすれば、すべての商品を出品できます。
4. 出品する商品を追加・編集する
必要に応じて追加で商品を出品したり、商品情報を編集したりしましょう。
国ごとに出品するかどうかを変更できるので、少しづつ調整することでリミットを節約できます。
5. 商品の価格を設定する
出品する商品を決めたら、それぞれの商品の価格を設定します。「Sites」をクリックし「Price correction」から価格を変更できます。
ドル以外の通貨を使用している国に出品する場合、通貨換算手数料が3%かかります。手数料を考慮した価格を設定しましょう。
6.その他の設定をする
最後に、その他の詳細な設定を行います。アイコンにカーソルを合わせて「Settings」をクリックしましょう。
- Currency settings
⇒通貨を設定できます。USDに設定しておきましょう。 - Update items quantities and content from the original item
⇒eBay.comでの変更が、eBaymagを通じて自動的に反映されます。特に理由がない場合はONしましょう。 - Import new items automatically
⇒選択したサイトの商品を自動的にeBaymagにインポートします。ONにするのがおすすめです。 - List imported items on the enabled sites
⇒無料出品枠で出品するかどうか選びます。こちらもONにしておきましょう。 - Archive an item if the original listing was delisted on eBay
⇒eBay.comで出品を終了したとき、eBaymagでの出品も終了するようにできます。ONにしておきましょう。
これで、eBaymagの設定は終了です。
これ以降は今まで通りeBay.comで出品すれば、設定した他の国でも自動で出品されます。
eBaymagで発生する3つの手数料
eBaymagを使ったときに発生する手数料は、以下の3つです。
- 出品手数料
- 落札手数料
- 通貨換算手数料(為替手数料)
利益に大きく関わる部分なので、正しく理解しておきましょう。
1. 出品手数料
eBaymagを使って出品した場合、無料出品枠を超えた出品数については通常どおり出品手数料が発生します。
出品手数料は無料出品枠を超過した分のみに発生し、以下のような条件によって異なります。
- アイテムの開始価格
- 出品カテゴリー
- 出品するサイト(国)
- ビジネスセラーの有無
平均的な出品手数料は、以下のとおりです。
出品するサイト(国) | 平均的な出品手数料 |
---|---|
ebay.com(アメリカ) | 0.35 USD |
ebay.co.uk(イギリス) | 0.35ポンド |
ebay.de(ドイツ) | 0.50ユーロ |
ebay.it(イタリア) | 0.35 EUR |
ebay.fr(フランス) | 0.35 EUR |
ebay.es(スペイン) | 0.35 EUR |
ebay.com.au(オーストラリア) | 00AUD以下の商品は1.50AUD、それ以上の商品は3.50AUD |
ebay.ca(カナダ) | 0.30 CAD |
(参照:eBaymag ヘルプセンター:各サイトの無料出品数)
出品する都度手数料を確認し、価格にきちんと反映させるようにしましょう。
なお、一定の条件を満たしたセラーは出品手数料無料プロモーションの対象となり、手数料が発生しません。
詳しくは後述するので、対象かどうか確認してみましょう。
2. 落札手数料
eBaymagで出品した場合、落札手数料も通常どおり発生します。
落札手数料は取引が成立した時点で1回のみ発生する手数料で、計算式は「売上総額×手数料率+0.3$」です。
売上総額には、以下の内訳が含まれるので、計算する際はすべて確認する必要があります。
売上総額の内訳
- 商品価格
- 取扱手数料
- バイヤーが選択する配送サービス料
- 消費税
- 適用されるその他の税を含めた価格
いつもと同じように発生する手数料ですが、料率は各国で異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。
3. 通貨換算手数料(為替手数料)
通貨換算手数料は、他国サイトでの売上金を米ドルに換算されるときに発生する手数料で、料率は3%です。
eBaymagを使いドル以外の通貨で販売した場合、売上金をポンドやユーロなど販売した通貨のままでは受け取れません。
そのため、売上金を受け取るためには米ドルに換算しなければならず、その際に手数料が発生します。
通貨換算手数料(為替手数料)分はサイトごとに価格調整ができます。手数料を上乗せしたい場合は、あらかじめ設定しておきましょう。
eBaymagの出品手数料無料プロモーションについて
2024年5月現在、eBaymagの手数料は永年無料プロモーションが実施されています。
元々は2023年3月までのプロモーションでしたが、その後延長され永年無料となりました。
無料対象サイトは、以下の6ヶ国です。
- イギリス
- ドイツ
- フランス
- イタリア
- スペイン
- カナダ
※上記の国とは別に、オーストラリアは元々の出品手数料が無料
出品手数料無料プロモーションは、固定価格形式のみが対象です。
また、出品手数料以外の手数料は通常どおり発生するので、利益計算の際は忘れずに考慮してください。
eBaymagを使う際の5つの注意点
eBaymagを使う際の注意点は以下の5点です。
- Out of stockをONにしておく
- VeROポリシー違反に注意する
- フランスへ出品する場合はEPRの対応が必須
- ドイツ梱包法の対応が必須
- アカウントレベルを維持する
上記を押さえておかないと知らないうちに規約に違反してしまい、アカウントの制限につながるケースもあるので、しっかり理解しておきましょう。
1. Out of stockをONにしておく
Out of stockとは、eBayで在庫がなくなっても出品が終了しない状態のことです。
ONになっていないと在庫変動がうまくいきません。
「Account settings」→「Selling preferences」→「Listings stay active when you’re out of stock」の順番でONにできるので、必ず確認しましょう。
2. VeROポリシー違反に注意する
eBayでは第三者の知的財産権保護、および知的財産保護プログラム(VeRO : Verified Rights Owner Program)を採用しています。
VeROポリシーに違反していると判断された場合、商品の削除、最悪の場合アカウントの制限・停止を受けるリスクもあります。
eBayの規約はもちろん、VeROポリシーも違反しないように気を付けましょう。
eBayのVeROポリシーについて詳しくは「eBayのVeROとは?正しい対処法や注意点・リスト確認方法まで詳しく解説」の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
3. フランスへ出品する場合はEPRの対応が必須
ヨーロッパでは「拡大生産者責任法(EPR)」により、生産者が製造から販売、廃棄まで生じる環境負荷に対して、一定の責任を負うことになっています。
eBayのセラーもEPRに組み込まれており、製品のライフサイクルに責任を負う必要があります。
実際にeBayではフランスへ発送するセラーに対して、以下の情報を追加で入力しなければなりません。
- ユニーク識別番号
- エコ料金
- 修理スコア
- 旧製品の引き取り
eBay.comではあまり使うことがない情報なので、わからない人はeBay公式サイトにて解説されている記事をご確認ください。
4. ドイツ梱包法の対応が必須
ドイツで出品する場合、梱包法に対応する必要があります。梱包法には、以下の手順で対応できます。
- LUCIDアカウントの登録
- ドイツリサイクル業者契約
- LUCIDとリサイクルライセンスの連携
- eBayアカウントにLUCID ID登録
ドイツで出品する上で、梱包法への対応は必須です。
ドイツ梱包法については「【2023年】eBay輸出セラー対応必須!ドイツ梱包法の対応方法を徹底解説」の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
5. アカウントレベルを維持する
eBaymagの出品手数料無料プロモーションを利用するためには、アカウントレベルを維持することも大切です。
アカウントレベルがBelowStandardになった場合、サービス利用中でもプロモーション対象外となり、手数料が発生してしまいます。
また、アカウントがサスベンドや停止中になった場合は、そもそも対象外となってしまうので注意しなければなりません。
無料プロモーションを適用させるためにもセラーレベルを維持することに努め、問題が発生した場合は早期解決するように気をつけましょう。
プロモーション利用時の注意点などはeBayからのお知らせページに詳細が掲載されているので、利用する前にしっかり理解しておいてください。
eBaymagを利用するときによくある疑問
ここからは、eBaymagを利用するときによくある疑問について回答していきます。
Q1. 出品手数料無料はいつまでですか?
2024年5月現在、eBaymagの出品手数料手数料は永年無料となっています。
ただし、適用されるためには以下の条件が設けられています。
- 過去に1度以上出品している
- UK、US、DE、Globalの4つの地域すべてで、セラーパフォーマンスがBelow Standardではない
- USサイト(ebay.com)でeBayストア契約を結んでいる
- eBaymagへの招待(プロモーションの案内表示)がなされている
自分のアカウントが対象になっているかどうかは、各国のサイトのSeller Hubで確認できます。
OverviewタブのPromotional Offers欄に無料プロモーションが表示されていれば、対象です。
Q2. eBaymagを利用するときのシッピングポリシーはそのままでも大丈夫ですか?
eBaymagを利用して他国への出品を行った場合、配達予定日などが元のサイトと異なる場合があるため、必要に応じて見直しましょう。
シッピングポリシーはeBaymagでの出品時に自動生成される仕組みで、元サイトの日数を元に安全と推測される配達予定日を自動で設定してくれます。
適切に反映されているかどうかは、国ごとに確認しておきましょう。
シッピングポリシーの設定は、eBaymag設定内の「Shipping Policy(配送設定)」から確認・変更できます。
詳しくは下記のページに記載されているので、確認しておいてください。
Q3. eBaymagをやめるときはどうすればいいですか?
eBaymagをやめるときは、下記の手順に沿って設定してください。
eBaymagをやめたいときの操作
- Account settings > Settings > Close my account の順にクリック
- すべての出品を削除したい場合は「Delete all items from eBay」をオンにする
eBaymagでの削除が反映されるまで、少し時間がかかる場合があります。
また、クローズ後に再開したい場合は、再度初めから登録しなければならないので注意してください。
eBaymagで一気にビジネスチャンスを広げよう!
eBayで少しでも多くの商品を販売する手段のひとつが多国籍展開ですが、eBay.com以外の各国でアカウントを開設するのは手間がかかります。
本来であればかかる手間を一気に解消できるのが、eBaymagと言うツールです。
eBaymagを使ってeBay.comで出品すれば、アカウントを作ることなく他の国でも自動で出品できます。
多国籍に展開することで他国のeBayサイトを使っているバイヤーにも表示されやすくなり、ビジネスチャンスを拡大できます。
ただし、国によって法律が異なるので、eBaymagに頼りすぎて知らないうちに違法行為をしているケースもあり得る点には注意が必要です。
とくに、フランスとドイツは明確に対処法が決められているので、それぞれ把握したうえで出品および発送するようにしましょう。